バグフィルター集塵機の仕組みと確認点

圧力損失と払い落としを、
運転中と清掃時に分けて考える。

バグフィルター集塵機は、ガスを吸引してろ過し、ろ布に付着したダストをパルス清掃で払い落とします。

ベンチュリーは、パルス空気に周囲の空気を巻き込み、ろ布の下部へ清掃空気を届けるための部品です。一方、その形状が吸引時の抵抗や、パルス時のろ布上部の動きに関係します。

まず、ベンチュリーが採用されてきた背景と役割を押さえます。そのうえで、通常運転中のガスの流れと、パルス清掃時のろ布の動きを確認します。

なぜ、ベンチュリーが採用されてきたのか。

ろ布で集塵を続けるには、付着したダストを定期的に払い落とす必要があります。ベンチュリーは、この清掃を助けるために使われてきた部品です。

払い落とし技術の歩み

  • 振動や逆流する空気による清掃:ろ布を揺らす方法や、ろ過と逆方向に空気を流す方法など、ろ布を装置内で清掃する技術が発展してきました。
  • 1950年代、パルスジェット式が登場:Nederman MikroPulの沿革では、1956年に同社のパルスジェット式集塵機が発明されたとされています。圧縮空気を短時間ずつ噴射する方式は、集塵を続けながら順番に清掃できる技術として使われてきました。
  • 清掃空気の流れを改良:噴射管やノズルに加え、ベンチュリーによって空気をろ布内へ導き、清掃性能を高める工夫が重ねられてきました。

周囲の空気も巻き込み、ろ布の奥へ送る。

パルス時には、ノズルから出る高速の圧縮空気が周囲の清浄側の空気を巻き込みます。ベンチュリーはこの流れをろ布の内側へ導き、清掃を助けます。周囲の空気を誘い込む働きが、エジェクター効果です。

長いろ布では、下部まで清掃に必要な空気を届けることが重要です。ベンチュリーの採用には、こうした払い落とし性能を確保する目的があります。

ここから確認するのは、清掃を助ける働きと、運転中の負担の両方です。
同じ上部構造を、通常運転時にはろ過後のガスが逆向きに通ります。清掃性能を保ちながら、流路抵抗・上部のダスト残り・ろ布の擦れをどう改善できるかを見ていきます。

ベンチュリーを使わない設計もあります。必要性や適した形状は、ろ布の長さ・ノズル配置・噴射条件などと合わせて判断します。

歴史・機構の参考:Nederman MikroPul 沿革 / Donaldson 清掃技術の発展 / ホソカワミクロン 集塵技術解説

1. 吸引時:ガスの通り道の抵抗が、圧力損失になる。

通常運転時、ろ布を通過したガスはリテーナの内側を通り、上部から送風機側へ抜けます。この通り道の抵抗によって生じる圧力の低下が「圧力損失」です。

通常運転中のガスがろ布の外から内へ入り、リテーナ上部を通って送風機側へ抜ける模式図
通常運転時のガスの流れ。ベンチュリー部分の流路を示す模式図で、寸法や性能値を示すものではありません。

ベンチュリータイプでは、上部の狭い流路が抵抗になります。コーンタイプでは、この流路を見直すことができます。

電力削減を検討するときは、必要な風量を確保したうえで、送風機の回転数や風量調整方法も確認します。リテーナの抵抗が下がった割合と、送風機の使用電力量が下がる割合は同じではありません。

集塵機の入口と出口で測る「集塵機差圧」には、ろ布や付着ダスト等の影響も含まれます。リテーナ部分の圧力損失とは区別して確認します。

2. パルス時:空気を噴射しても、上部が十分に膨らまない。

パルス清掃では、圧縮空気を短時間噴射し、ろ布を膨らませてダストを払い落とします。空気を噴射していることと、ろ布の全体で払い落としが働いていることは、分けて確認する必要があります。

パルス清掃時にろ布上部が内側へ引き込まれる状態と外側へ膨らむ状態の模式図
パルス時のろ布上部の動きを比較した模式図。形状と変位は説明のために強調しています。

図とあわせて、動画でも確認できます。

メーカー動画で、ろ布の動きを確認する ↗

伸興産業株式会社のYouTube動画が新しいタブで開きます。

ベンチュリータイプやベンチュリー無しタイプでは、パルス時にろ布上部を内側へ引き込む負圧が生じる場合があります。これが「引き込み負圧」です。上部が十分に膨らまなければ、その部分にダストが残りやすくなります。

上部の払い落としを確認することが、ろ布の持つろ過機能を有効に使うための確認点になります。

3. 引き擦り:内側へ引き込まれたろ布が、リテーナと強く擦れる。

パルス時に上部のろ布が内側へ引き込まれると、リテーナの金属線に強く接触して擦れることがあります。この現象を「引き擦り」と呼びます。

ろ布がリテーナの金属線へ引き込まれ、接触と擦れを繰り返す部分の拡大模式図
引き擦りの接触部分を拡大した模式図。実際の傷みは温度・材質・ダストなどの条件も含めて判断します。

確認したいのは、ダストが残っているかだけではありません。ろ布上部の傷みがリテーナとの接触位置に沿っていないか、交換したろ布の状態も確認します。

引き擦りは、ろ布を傷める要因の一つです。材質、温度、薬品、ダストの性状など、他の要因と合わせて判断します。

点検記録と交換したろ布から、確認を始められます。

次の情報があると、課題の整理に役立ちます。分かるものだけで構いません。

  • ろ布上部と下部のダスト付着状況が分かる写真。
  • 交換したろ布の擦れ・傷みが分かる写真。
  • 集塵機差圧の推移と、パルス清掃後の変化。
  • パルス清掃の圧力・噴射時間・間隔。
  • 送風機の使用電力量または運転中の入力電力、風量調整方法。

写真は、既存の点検記録や、通常の安全手順で点検できるときのものをご用意ください。

図版:爽ビレッジ・コンサルタント作成。参考:伸興産業「従来品との比較」。メーカー試験で示された現象を参考に整理しています。発生の程度や改善効果は設備・運転条件により異なります。