コーンタイプリテーナ
コーンタイプリテーナの特長
伸興産業株式会社は産業用集塵機用部品を製造販売している会社です。
向け先は産業用集塵機製造メーカーで、リテーナは集塵機用部品の一つです。
リテーナの大きさや形状は集塵機メーカーにより違いがあるため、要求仕様に合わせたものを用意する必要があります。
パルスジェット式バグフィルター集塵機は一定間隔でパルスエア(圧縮エアーを瞬間的にリテーナ内に噴射すること)を撃ち、バグフィルター(瀘布)を膨らませ、粉塵を払い落とします。
パルスジェット式バグフィルター集塵機用リテーナは、集塵機メーカーの要求仕様によりベンチュリーが取り付けられているものが多いです。
今までのリテーナではベンチュリー有無に関わらず、パルスエアを撃ってもフィルター上部10%程の粉塵の払い落としが出来ていませんでした。何故ならパルスエア噴射時にエジェクター効果が発生し、上部10%程はフィルターが膨らまず、払い落としが出来ない為です。全長6,000mmのバグフィルターの場合、上部600mm程。全長の10%程度は粉塵の払い落としが出来ず、ろ過面積が10%程度減少ししています。
伸興産業株式会社では試行を重ね、常に集塵機が本来持っている濾過面積を100%発揮利用出来る様に 上部から粉塵の払い落とし効果が高いコーンを開発しました。特許(国内特許 第4313834)を取得済みです。
ベンチュリーに代わってコーンを搭載したリテーナを既存のリテーナと交換することで集塵機は100%の性能を発揮します。上抜きタイプの集塵機であれば改造は不要です。
貴方は「コーンタイプリテーナを導入」することにより、「ブロア吸引効率が64%改良」、「送風機電力量17%節約」、「上部濾過面積10%拡大」という特長の相乗効果により、省エネが実現出来ます。
わかりやすい動画を準備していますので、是非ご覧下さい。
用途
外面ろ過方式の部品でベンチュリーの替わりに円錐状の部品を使用しています。
<特許取得>
国内特許 第4313834
韓国特許 第10-0919853
中国特許 ZL200680006341.3
<意匠登録>
意匠登録 第1305904
意匠登録 第1305905
意匠登録 第1305906
平成21年度 北九州市トライアル発注認定商品
平成20年度 北九州エコプレミアム選定商品
特徴
コーンタイプリテーナは、ブロア吸引の効率化・ダストの払い落し効果を目的に開発されました。
パルスタイプのジェットエアーを活用することで、従来と比較した際、払い落としが画期的なものになりました。
バグフィルターの性能を最大限に発揮させることができる全く新しいタイプのリテーナです。
バグフィルターの性能を最大限に発揮させることができる全く新しいタイプのリテーナです。
仕様
材質 | SS, SUS304, SUS316, SUS316L |
適応リテーナサイズ | Ф110~Ф170mm 長さ 9m |
ベンチュリー・ベンチュリー無し 従来品との比較
ベンチュリータイプと比較したコーンタイプの特長(当社テスト機の比較による)
有効ろ過面積の拡大
パルスジェット噴射時の圧力を調整、有効ろ過面積が拡大!
コーンタイプは払い落しのためのパルスジェット圧力を自由に調整できます。そのため、最長9mのろ布にも対応できます。その上、従来品では落せなかったろ布上部のダストを払い落し、ろ布の有効ろ過面積を拡大できます。バグフィルターの性能を最大限に発揮させるため、効果的な集塵が実現します。
ろ布上部ダスト払い落し(パルスエアーを噴射したときの圧力変化)
センサ位置200mm
実測データ
リテーナ:Ф160×9m
パルスジェット:0.5MPa-0.2秒
■負圧:真空状態(払い落しできていない状態)
■正圧:正空状態(払い落しできている状態)
ベンチュリータイプ、ベンチュリー無しタイプはパルスジェット噴射時、ろ布上部に引込み負圧(エジェクター効果による真空状態)が発生し、払い落しができていません。コーンタイプはこの引込み負圧を抑えてダストを効果的に払い落し、従来品では機能しなかった上部ろ過機能を有効にします。
ろ布下部ダスト払い落し
ブロア吸引力のアップ
従来のブロア吸引力の負荷を解消
コーンタイプはリテーナ内に、コーン以外にエアーを遮る物がなくスムーズな流れを作り、流路圧損が減少! 従来品に比べ、ブロア吸引負荷を大幅に軽減できます。
参考:リテーナタイプ別 圧力損失の比較
タイプ別 ブロア吸引力比較テスト
ベンチュリータイプとコーンタイプの比較:64%UP!
ベンチュリー無しタイプとコーンタイプの比較:5%DOWN
吸引負圧(平均値) | |
コーンタイプ | -0.500 Kpa |
ベンチュリータイプ | -0.305 Kpa |
ベンチュリー無しタイプ | -0.525 Kpa |
【テスト条件】
ろ布:Ф164 1本 センサ位置:ろ布上部~200・3000・6000・9000mmの4カ所
注)上記負圧値は、センサ4カ所での吸引負圧の平均値 吸引負圧は、パルスジェット噴射時以外の値
【計 算 式】
(0.500-0.305)÷0.305=0.639 (0.525-0.500)÷0.525=0.048
ブロア吸引時のイメージ図(上部及び全体)
ブロア吸引時、ベンチュリータイプは、上図のように流路の抵抗が大きく圧力損失が大きいため、ブロア吸引効率が落ちます。コーンタイプはベンチュリータイプに比べ流路面積が拡大する上、整流効果も加わってベンチュリー無しタイプ(流路に障害物がない)に近いブロア吸引を実現します。吸引負荷を軽減し、吸引効率を大幅に改善します。
■パルスジェット噴射時のイメージ図(上部)
ベンチュリータイプ・ベンチュリー無しタイプは、パルスジェット噴射時、ろ布上部に引込み負圧(真空状態)が発生し、強い引き擦りが起こります。この現象は、噴射圧力が大きいほど、強く起こります。そのため、パルスジェット噴射圧力を上げられず、ろ布下部まで有効なジェット噴射圧を届かせることができないため、ろ布下部の払い落しができません。コーンタイプはパルスジェット圧力を上げても、ろ布上部の強い引き擦りを起こしません。そのため、ろ布下部にも高圧が届き、ろ布の上部下部共にダスト払い落しができます。
ろ布の寿命アップ
コーンタイプはろ布へのダメージを大幅に改善!ろ布の寿命が延びます。
従来品は、ろ布上部に引き擦りを起こすため、払い落し圧力を上げられず、目詰まると、ろ布の物性強度があるにも関わらず、ろ布を交換していました。コーンタイプは、引き擦りを起こさないので、払い落し圧力を上げて使用できます。そのため、払い落しが良く、目詰まりによるろ布の交換時期を延ばすことができます。
ろ布のリテーナへの引き擦りの違い
負圧発生・正圧の届き・圧力損失比較
製品の取付け
コーンタイプはリテーナを交換するだけでOK
上抜きタイプであれば、集塵機の改造なしで容易に取替が可能です。
下抜きタイプについては、ご相談ください。
コストダウン
ろ過面積の拡大、吸引力アップ、電力量ダウンで地球に優しいタイプ
コーンタイプは従来品に比べ、実質ろ過面積を有効利用し効率の良い集塵ができるため、コストダウン可能です。ろ過吸引圧損を大幅に改善するため、省電力化が実現。これらの効率アップにより、集塵機自体の小型化も可能です。
コーンタイプリテーナ 実機運転テスト
コーンタイプリテーナとベンチュリータイプリテーナとの性能対比テストを実機運転にて実施。
テスト結果は、「45日後」「120日後」のダスト付着状況について確認をする。
テスト結果は、「45日後」「120日後」のダスト付着状況について確認をする。
取り付け状況
テスト条件
項目 | 仕様 | 備考 |
テスト場所 | 兵庫県神戸市某所 | |
焼却炉 | ストーカー式産業廃棄物焼却炉 | |
運転温度 | 170℃ | |
ろ過速度 | 1.0m/min | 実測値:0.6m/min |
パルス圧力 | 0.3Mpa | |
噴射時間 | 0.3秒 | |
インターバル | 15時間周期 | 1列を30分毎に噴射 |
ダスト濃度 | 2.0g/Nm 3 | |
消石灰投入量 | 25.0kg/h | |
ろ過圧損 | 35.0mmAq | パルス払落し後:20mmAq |
使用ろ布 | テフロンシリカ | |
ろ布サイズ | Φ160×6000L | |
テスト時間 | 120日間連続運転 | 45日後・120日後に確認 |
テスト数量 | 総数:330本(11本×5列×6ブロック) | コーンタイプ 55本(1ブロック) ベンチュリータイプ 275本(5ブロック) |
テスト結果:ろ布の内面(45日後)
ダストの付着状況(45日後)
テスト結果:ダストの付着状況(120日後)
テスト結果:ダストの付着状況(2年後)※某所のものを撮影
テスト結果 総括
項目 | コーンタイプ | ベンチュリータイプ |
ダスト払い落し状況 | ろ布の上部を含め全長に渡って払い落しが出来ている。 | 払い落しが出来ていない(特にろ布の上部) |
ブロア吸引 | 吸引効率が良く全体的に良好な状態である。 | 一度ダストが付着すると吸引効率が悪く付着量が少ない。コンデンス(凝固)現象が生じたダストが多く付着している。 |
ダストの堆積 | ろ布上部の払い落しが良いためダストブリッジの発生がない。 | 堆積化が進行しダストブリッジが発生する。 |
導入事例
製薬メーカー
集塵機の更新にあたり、従来のベンチュリーリテーナからコーンタイプリテーナに変更されました。
パルス回数を大幅に減らすことができ、窒素使用量の削減につながったため、工場の全集塵機をコーンタイプリテーナに交換されています。
サイロ工場
船から穀物をアンローダーで吸い上げる際に、ベンチュリータイプ集塵機では吸引力が弱く、吸い上げに時間を要するのが課題でした。
そこで、ベンチュリータイプ集塵機をコーンタイプへの改造したところ、吸い上げ量が約20%増量でき、作業時間の短縮につながっています。
鋳物工場
鋳物溶解フードリングからの集塵のため、集塵機の更新にあたってコーンタイプリテーナに変更されました。
従来に比べ、ダンパ開放度55%で継続中です。
これまで、ろ布交換を毎年実施されていましたが、コーンタイプリテーナに変更してからは、4年間継続使用ができています。